整形外科の外来で最も多いといってもいいでしょう。全国で約700万人がこの状態であるとされています。女性が男性の2倍多く、50台後半の女性からときどき起こります。
年をとることや筋力低下、肥満などのきっかけにより膝関節のクッションの役目を果たす軟骨や半月板が長期間に少しずつすり減り変形することで起こるのがほとんどですが、関節リウマチや過去の膝の怪我などによって引き起こされるものもあります。程度によっては症状もさまざまで、初期には階段昇降や正座やしゃがむ姿勢が痛くなったりします。
初期にはくすり・サポーターなどの装具、リハビリなどで症状が落ち着く方もみえますが、来院されたときに痛みが強い場合にはしばらく数回続けてヒアルロン酸の関節内注射を行います。このような治療とともに生活習慣の見直しを行いそれでも日常生活に差し支えるような症状が残った場合にのみ手術は考慮します。
よくいわれる「水が溜まる」とは炎症で関節液が余分になった状態で、もともと適正量は関節の潤滑剤として存在します。
「水を抜くと癖になる」と言うのは大きな間違いで、関節液の溜まりすぎることは痛みや関節の動きの制限となるだけでなく、関節軟骨への栄養が途絶えてしまうことになります。
抜かなくても炎症が続けば「水がたまる」は続きますので、やはり整形外科で適切に処置したほうが長期的にみてもいいでしょう。多くはありませんが、治療に全く反応せず下肢に体重をかけられないくらい痛い状態が続くようだと、大腿骨内顆骨壊死という病気があります。これは単純X線では診断がつかずにMRIが必要になる場合もあります。